適度な運動で病気を退ける【免疫と日常生活の知恵】


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   適度な運動で病気を退ける

子どもの頃、身体が弱かったので水泳を始めたら、不思議に風邪をひかなくなった。
こんな話を聞いたことはありませんか。あながち根拠のない話ではありません。運動と免疫システムにはどうやら関わりがありそうですね。この適度な運動と免疫にについて考察してみました。

1990年代、スポーツ医学の世界ではそのメカニズムを立証しようという研究者がたくさん現れたとか。
運動を始めると白血球がドーンと一気に増える。これは血液中の免疫細胞の濃度を計測することで明らかにされているようです。

考えてみれば、それも頷ける話です。獲物に向かって攻撃をしかけるとき、隣の部族と闘うとき、危険な外敵から逃れるとき、生死を分けるようなストレスがかかったとき、大昔のご先祖さまは、生きるために免疫システムをフル稼働させて対応してきたに違いないのです。

実際に白血球の中では顆粒球のひとつである好中球がとくに運動中増加し、リンパ球ではNK細胞の増加率が著しいという報告があります。
免疫反応には自然免疫獲得免疫の2類が存在します。
 ・自然免疫は外敵が侵入してきた直後から作動する非特異的な反応。
 ・獲得免疫はタチの悪い敵に対抗し、敵の種類に合わせて抗体を作り出す特異的な反応。
運動を始めてすぐに好中球やNK細胞が増えるのは、どちらも自然免疫に関わる細胞で、ストレスへの反応速度が速いためと考えられます。その証拠に獲得免疫で抗体を作るB細胞は、ほとんど運動の影響を受けていないようです。

運動を終えると、次にやってくるのは白血球の減少です。運動直後は運動前よりも特にリンパ球が減少することが分かっているそうです。冬場の運動の後は、冷たく乾いた空気という条件が加わって、上気道の粘膜バリアが脆弱になり、さらにウイルスに感染しやすくなるそうです。

さて、こうして一時落ちた免疫機能は、運動後6〜24時間で元に。清潔な部屋の中でじっとしている分には、NK細胞はひたすら血中をぐるぐる回っているのみ。しかし、運動で繰り返し刺激を与えることによって、サイトカインの分泌が増減すると、NK細胞の活性度も変化してきます。
つまりそれだけ、反応性が高くなり、サイトカインに反応するレセプターが発現しやすくなるのです。

運動強度が最大酸素摂取量の70%以上になると、NK細胞の活性度が低下するという報告があるそうです。合宿などで強度の高い運動を長期間続けた結果、NK細胞の数は変わらないようですが、その活性度が総じて低下したという結果も出ています。NK細胞の活性度は運動強度で変化するということですね。

この結果から、運動習慣があまりないという人の場合、最大酸素摂取量の60%以下の強度が目安。
ジョギングなら鼻の頭にちょっと汗をかく程度の運動強度ですね。

また、多少体力に自信があっても、長期間のオーバートレーニングは避けた方が無難です。
1週間運動を続けたら、その後は2〜3日の休養を。さらに免疫力をアップさせるには、ある程度の筋肉も必要不可欠です。
理由はリンパ球やマクロファージのエネルギーであるグルタミンが、筋肉で生成されるからです。
体内で最も豊富に事在するアミノ酸の一種、グルタミンは、筋肉の中でグルタミン酸とアンモニアから合成され、血中に放出されていくのです。

といってもムキムキに鍛える必要はありません。通勤時にエスカレーターではなく階段を利用するだけの筋力があれば十分でしょう。

というわけで、免疫力のための運動の鉄則は以下の通りになります。
 ・運動後は、うがいや手洗いを徹底する。
 ・オーバートレーニングは禁物。
 ・そして運動を楽しみながら継続すること。

数ヵ月後、そういえば、最近体調がいいなー。風邪も引かなくなったような・・・。
そんな気がしたら大正解ですね。

  
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